Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
心配になることはご同様だが、まあもうしばらくなされるままにして見ているより他あるまい」誰よりも幼少から師の房の性質を知っている性善坊がいう言葉なので、それに従うほかはないと民部も覚明も黙ってしまう。民部は師の房にかわって寺務の一切を見ておるのでそれに心をとられて落着いてもいられなかった。覚明の方は楽天的なところがあって、
「そうだとも、われらよりは深い思慮で遊ばすことだ。つまらぬ憂いは、かえってご思念の邪げになる」すると黄昏の寂とした物静かな空気が、伽藍の高い天井から圧しるように下りてきて、若僧が内陣の釣燈籠に灯をくばりかけたころであった。まだほの白い方丈の庭面にあたって、何か、大きな物音がしたのである。つづいて、性善坊の名を呼ぶ声がする、幾度もつづけざまにする、紛れもなく師の房の声だった。
「はいっ、はいっ」性善坊は何ごとかと思いつつ駈けていた。一室の戸はあいているが範宴の姿は見えない。ふと見るとその範宴は庭に立っていた、足もとにはちょうど今日あたりがいっぱいに開いていたと見える白磁の壺の牡丹が、その壺ぐるみ庭石に抛たれて微塵に砕けているのだった。