Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
「春は来たが……。山は依然として山だ、谷は依然として谷だ。明けても暮れても霧が住居じゃ」
「味気ないと思うのか」
「人間だからな」
「それに克つのが修行だ」
「時々、自信が崩れかかるんだ。修行修行といっても、俺たちはどうしても、抜け道を作らずにいられない。そっと山を下りて人間の空気を吸いに出ることだ。そんなことをしていたって、克つことにはならないじゃないか、ただ、矛盾の中に生きているだけだ」
「そう、むきになって考えたら、僧院の中に住めるものか、よろしく中庸を得てゆくことだ、たとえば、大乗院へ籠り込んだ範宴少僧都などをみるがよい」
「いろいろな噂があるが、あれは一体、どうしたことだ」
「おい」と、一人の背中をのぞいて、
「貴公は今朝、ここへ来る前に、横川の飯室谷へ、何か使いをたのまれて行ってきたのじゃないか」
「うむ、四王院の阿闍梨から、書面をたのまれて置いてきた」
「範宴はいたか」
「わからん」
「誰がいるのだ、今あの寺には」
「党衆らしいのが庫裡にいた。がらんとして、空寺のように奥は冷たくて暗かった。たしか、去年の初夏のころから、東山聖光院の門跡範宴が上ってきて、あれに閉じこもっているわけだが、彼の姿など見たこともない。