Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
悠々とやろうぞ」
「かしこまりました」――だが、野川の御所の曲がりから、もうその糸毛輦は人の目をよび集めた。加茂川原の向う側からさえ童や凡下が、人だかりを見て、ざぶざぶと水を越えて駈けてくるのだった。わけてもこの辺りには、吉田殿、近衛殿、鷹司殿などの別荘が多いのである。窓や、門や、路傍は、たちまちのうちに奇異な物へ瞠る無数の眼が光っている。
「なんじゃ?」
「なにが通るのじゃ?」河原で衣を晒していた女たちは、濡れた手で人混みを掻きわけた。脚と脚のあいだで、野良犬が吠えたてるし、嬰児が泣くし、物々しいことである。
「やあ、美しい上が、若い法師と、添乗りして、行くぞや」
「怪ったいな!」
「知らんかい、あれや、岡崎の松林に住んでいる坊じゃげな」
「では、綽空法師かよ」
「九条殿の法師聟じゃ」
「なんじゃ、法師聟が通ると? ……。ほ、それでは、あれが、嫁御寮か」
さても天下の大変でも往来に起ったように、町の凡下たちは、人にも見よと手を振ったり指をさして騒ぐし、通る先々の別荘や寺院の門前には、自失したような眼と、呆れたような口が、物も得いわず立ち並んでいた。
四
輦が、鳥居大路へかかると、もうその輦が、人を轢き殺さない限りは、後へも前へも動かせないような群集だった。