Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

二

丘には、松が多く見える。そして初めて心蓮も気づいたのである。そこに、チラと灯がまたたいていることを。

「お……あの山門は磯長の叡福寺ではないか。……そうだ、聖徳太子の御廟のある……」

彼は、犬の後から、遥かに遅い脚で、その灯をあてに歩みだした。

二

山門は閉まっている。心蓮は、丘の下まで来て、

「はて、今ごろ、門をたたいても……」と、ためらっていた。

太子の御霊を感じるので、その山は、神々しかった。しかし、もし魔が棲む山と見たなら、轟々と鳴る暗い松風もものすごい形相なのである。

「どんな所でもよいが――」心蓮は、寝どこが欲しかった。ともかく、ここまで来たことである、訪れてみよう、そう考えて、崖の段を踏みかけた。

さっき――林の中で縄を解いてやった犬の声が――その時ふたたび遠い寺域の裏山で聞こえだした。

ぞっと、心蓮は背に水を浴びた。その時の犬の声は、さっき、街道で耳をとめたそれよりは、いっそう陰惨な殺気さえおびている――一種異様な吠え方である。

しかも。その犬の声は、恐ろしい迅さで、またこっちへ近づいてくるらしい。それと共に、誰なのか、大股に幅ひろく駈けてくる人間の跫音も近づいてきた。