Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
「――じゃが、まだ、役宅のうちに、大事な書類があるし、あちらへも救いに行けず、ここも炎」
「炎がなんだッ。信念をもって行くところには炎も避けるわ。――そうだ、わしは奥の棟へ行って、おぬしの子や妻たちを抱え出して進ぜるほどに、おん身は代官として、公の文書や、印鑑、絵図など、政に要る大事なものを火の裡から持ち出されい」いいすてると、生信房は奥の館へ向って、煙をくぐって行った。
役所と、奥の棟とよぶ住居のあいだに、板塀があった。そこには門もあるはずだが煙で見つからない。恐らく中で悲鳴をあげている女子供らも、うろたえて、そこの木戸が見つからずに、右往左往しているのではあるまいか。そう考えたので、生信房は、その辺りにあった太い栗丸太を横にかかえて、板塀を突き破った。二ヵ所も三ヵ所も、同じ手段でたたき壊した。仆れた塀のうえには、わっと、多勢の女たちが、煙に追われてなだれてきた。仆れる者の上へ、仆れる者が重なった。
「――年景どのの奥方ッ」生信房は、さがし廻った。逃げまどってくる者は、みな召使の下婢や側女たちばかりで、子を抱いているはずの年景の妻は見あたらなかった。