Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
「和子よ」と、涙ぐんだ。
「――今日の禍いは、幸いに怪我もなくすぎたが、この後とも、一身を大事にまもらねばなりませぬぞ。心に、油断があってはならぬぞ。そなたの身に、もしものことがあったら、この母は、どうしましょう」それから、夜の更けるまで、いろいろと、十八公麿のゆく末のことを案じて、いいきかせた。
それが、母と子との、最もしみじみと心で抱き合った最後の夜であった。
石井戸に立って、水づかいをしていた時に、寒気がするとつぶやいていた彼女は、その夜から、寝間を出ずに、幾日も閉じこもった。
良人にわかれてから、とかく、病みがちであった彼女には、病気以外に、二人の遺子を抱えて、また、範綱の苦しい家計や、世難の悩みをながめて、共々に、やすらかな日を味わう暇もなく暮してきた。
風邪気味と、かろく自分でも考えていた数日のあいだに、彼女の若さも、肌も、病魔の鉋に削られて、眼にも驚かれるばかり、痩せ細ってしまった。
「オオ……何やら美しい……蓮花がにおう……妙なあの音は、笙の音か、頻伽の声か。……蓮華が降る、皆さま、蓮華が降って、私の顔にかかります」信仰のふかい彼女は、熱がたかくなると、うわ言をいって、細い蝋のような手を、うごかした。