Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

「したが、あまりにおそい――。こうしてはどうじゃ」

「はい」

「明日か、明後日、まいらば、十八公麿を伴うてござれ。それまでには、官のこと、一切、御印可をいただいておくが」

「では、そう願いましょうか」範綱が、答えて、立ちかけると、

「お父さま」十八公麿が、いう。

「僧正さまの仰せじゃ。帰ろうぞ」

「いいえ」かぶりを振って――

「いつまでも私は、待っていとうござります」

「わからぬ駄々をいうではない、さ……」うながすと、十八公麿は、父が、朗詠する時の節をそのまま真似て、

あすありと

おもうこころの

あだざくら

夜半にあらしの

ふかぬものかは……

愛らしい唇で、童歌のようにうたった。

「おお」慈円僧正は、背を寒くしたように、その声に打たれた。

「よういった。……六条どの、待たねばなるまい、夜が明くるとも」

「はい」ほろりと、範綱はいった。

うれしいのである。この子の才智のひらめきが。同時におそろしい。

こんなに光る珠を、なんで、平家の者が、眼をつけずにおくものか。待とう。

――夜半にあらしのない限りもない。介は、今の童歌の声に、

「ああ、あのお可愛らしいお姿も、今宵かぎりか」と、洟をすすった。