Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

呼んでやりましょう」性善坊はすこし離れた崖の際まで駈けて行って、

「オオーイ」谷間をのぞいて呼んだ。

姿は青葉や山藤の花などで、見えないが、尺八の音は、糸の切れたように、やんだ。

孤雲はその時、ずっと下の渓流のふちに平たい巌を選んで、羅漢のように坐っていた。ここへは、性善坊が察したとおり、口が渇いたので、水を飲みに下りてきたのであるが、孔雀の尾のような翠巒と翠巒の抱くしいんとして澄んだ静寂のなかに立っていると、彼は、傷だらけな心を、ややしばし慈母のふところにでも安らいでいるように、いつまでも、去りがてな気持がして、そこの岩の上に、坐ってしまった。

何かは知らず、とめどもなく涙があふれてくる。昼の雲が、静かな峡のあいだを、ふわりと漂っていた。母も妻も子も、また家もない自分の境遇と似ている雲を、彼は、じっと見ていた。

誰にとも訴えようのない気持がやがて、尺八の歌口から、哀々と思いのかぎり、細い音を吹きだしたのであった。その音のうちには人生の儚なさだの、煩悩だの、愚痴だの、歎きだのが、纒綿とこぐらかっているように聞えた。

「おうーい」誰か、上で呼ぶ声に、孤雲はその尺八の手を解いて、