Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
そこから性善坊がいうと、
「なにをっ」柿色の篠懸を躍らして、
「野郎、うごくな」と弁海は、眼をいからせて、躍りかかってきた。
「あっ――」よろめくように、性善坊は逃げだした。
「待てっ」うしろから迫る怒号を耳にしながら、彼は、坂の上まで、息もつかずに出た。そこまで登るともう広やかなる耕地の彼方に、奈良の丘や、東大寺の塔の先や、紅葉した旧都の秋が、遥かに望まれてきたのであったが、ふと思うことには、万一このまま奈良の町へ入って、範宴が、そこに自分を待ってでもいたらはなはだまずいものになろうという懸念であった。
いったい、弁海と師の房とは、どういう宿縁なのか。師の房は、彼を憎んだことも、墜し入れたこともないのに、幼少から今日まで弁海が範宴を憎悪することはまるで仇敵のようである。
日野の学舎で、自分より小さい者に、学問や素行においても、絶えずおくれていたことが、幼少の魂に沁みて、口惜しくて、忘れられないのか。
糺の原で、他人を、野火に墜し入れようとした悪戯が、かえって、自分を焼く火となって手痛い目に会ったので、その遺恨が、今もって、消えないのか。
いや、なかなかそんなことではあるまい。