Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
よいかっ」
「はい」
「おぼえておけ」法衣の上は何ともなかったが、打たれた肩の皮膚がやぶれたのであろう。土についている手の甲へ、袖の奥から紅い血が蚯蚓のように走ってきた。
血を見て、学頭は、口をつぐんだ。範宴は桶の水を、大瓶にあけて、また、川の方へ水を汲みに行った。
もう、梢のすがたは見えなかった。白い枯野の朝靄から、鴉が立ってゆく。
「かるい容態ならよいが……」弟の病気が、しきりと、胸に不安を告げていた。――仏陀の加護を祈りながら、範宴は、同じ大地を、何度も踏みしめて通った。
半日の日課がすんで、やっと、自分の体になると、範宴は、性善坊にも告げず、法隆寺から一人で町の方へ出て行った。
小泉の宿には、この附近の寺院を相手に商いしている家々や、河内がよいの荷駄の馬方や、樵夫や、野武士などかなり聚合して軒をならべていた。
「あ……。ここか」範宴は、立ちどまって、薄暗い一軒のあばら屋をのぞきこんだ。大きな古笠が軒に掛けてあって、
「きちん」と書いてある。
何か、煮物をしていると見えて家の中は、榾火の煙がいっぱいだった。ぎゃあぎゃあと、嬰児の泣く声やら、亭主のどなる声やらして、どうして、それ以外の旅人を泊める席があるだろうかと疑われるような狭さであった。