Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
……その由、鞍馬へ、おつたえして賜われ」吉次は、ちょっと、不満な顔いろを見せたが、押しいただいて、ふところに納めながら、
「そのほかには?」
「おことばでよいが――くれぐれも、亡き義朝公、源家ご一門のため、回向おこたらずご自身も、朝暮に仏道をお励みあって、あっぱれ碩学とおなりあるようにと……。おん奥の方、また、お館様からも、ご伝言にござりまする」
「承知つかまつりました。では、これで……」吉次は、辞して、元の裏門から外に出た。
宵よりも、星明りが冴えていた。夜は通る人もない日野の里だった。
「なんのこった……」苦労して、訪ねてきただけに、期待が外れて、彼は、がっかりした。
吉光御前の思いやりと、自分や自分の主人秀衡が考えている思いやりとは、同じ遮那王にもつ好意にしても、まるで、性質がちがっていたことを、はっきり、今、知った。
自分の主人、秀衡は、遮那王を、仏界から下ろして、源氏再興の旗挙げをもくろんでいるのであるし、吉光御前や、有範朝臣は、あべこべに、遮那王が身の終るまで、鞍馬寺に、抹香弄りをしていることを、祈っているのだ。
なるほど、それは、遮那王の身にも、彼の従姉にも、無事な世渡りにちがいない。