Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
(歌よみか。歌よみなら、牛糞町に住ませて置くのが、ちょうどよろしいのだ)と、視られているかのようであった。
生活力のない歌所の歌人たちは、それに対して、不平の不の字もつぶやけなかった。
「ちっ」範綱は、机をわきに寄せた。
硯に、紙に、たかっていた秋の蠅が、彼と共に、うるさく、起つ。
「奥所――」妻をよんで、
「粟田口の慈円様へ、久しゅう、ごぶさた申し上げているで、おあずかりの歌の草稿、お届けいたしながら、ご機嫌をうかがってくる」
「きょうは、ご舎弟様が、お見え遊ばしはしませぬか」
「御所の戻りに、寄るとはいうたが……。よいわ、いずれ、帰りには、日野の有範の邸へ立ち寄るほどに、そこで、会おう」
日野へ寄るというと、彼の妻は、
(またか)というように、微笑んだ。
子のない彼は、弟夫婦の邸に、子が生れてからというもの、三日に一度は、どうしても、訪れてみねば気がすまないらしかった。
「行っていらっしゃいませ」妻の声をうしろに、籬の菊花に眼をやりながら、我が邸の門を出ると、
「やあ、兄上」末弟の宗業朝臣が、ちょうど、門前に来あわせて、
「どこへ、お出かけですか」と、肩をならべた。