Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

「また、おいで遊ばせ」といった。振向いて、範宴は、

「はい、ありがとうございます」

しかし――彼は何か重くるしいものの中から遁れるような心地であった。こういう豪華な大宮人の生活に触れることは夢のように遠い幼少のころの記憶にかすかにあるだけであって、九歳の時からもう十年以上というもの、いつのまにか、僧門の枯淡と寂寞が身に沁みこんで、かかる絢爛の空気は、そこにいるだにもたえない気がするのであった。

慈円はもう木履を穿いて、丁子の花のにおう前栽をあるいていた。

供をして、外へ出てから、範宴はこういって慈円にたずねた。

「お師さまは、叡山にいれば、叡山の人となり、青蓮院にいらっしゃれば、青蓮院の人となり、俗家へいらっしゃれば、俗家の人となる。女房たちや、お子たちの中へまじっても、また、それにうち解けているご様子です。よく、あんな謡など平気におうたいになれますな」すると、慈円はこういった。

「そうなれたは、このごろじゃよ。――つまり、いるところに楽しむという境界にやっと心がおけてきたのじゃ」

「――いるところに楽しむ。……」

範宴は、口のうちで、おうむ返しにつぶやきながら考えこんだ。