Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
後の始末、頼むはおもとよりほかにない」と書付を一通、手筐のうちから出して、範宴のまえにおいた。
「かしこまりました」何も問わずに、範宴はそれを襟に秘めた。そして、
「さだめない人の世にござりますれば、仰せのよう、いつお旅立ちあろうも知れず、いつ不慮のお移りあろうも知れず、とにかく、おあずかり申しておきます、どうぞ、いかなる時もお心やすくおわされませ」といった。
「うむ」慈円は、自分の心を、鏡にかけて見てとるように覚っている範宴のことばに、満足した。
「たのむぞ」
「はい。しかしお心ひろく」
「案じるな、わしは、身の在るところに娯み得る人間じゃよ、風流の余徳というもの。――いや、風流の罪か、ははは」玄関のほうには、しきりと、訪客の声や、取次の跫音が客殿との間をかよう。
範宴は、長座を憚って、師の居室を辞した。そして、廻廊をさがってくると、
「兄上」見ると弟の尋有だった。
尋有は、憂いにみちた顔をしていた。いつもながら病身の弱々しさと、善良で細かい神経につかれている眸である。
「――もうお帰りですか」
「うむ、近ごろ体は」
「丈夫です」
「それはよい、真心をあげて、御仏にすがり、僧正に仕えよ」