Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
「ありがとうぞんじまする」微かにいってまた、
「西洞院の並木までゆけば輦もあり、供もいるはずでございますから……おことばに甘えて」
「お気づかいなさるな」牛車はすでにゆるぎ出した。範宴は、なにか空想に囚われていたらしく、牛車が廻りだしたのに驚いたかのような容子をした。そして、それに添って歩みだした。
しかし、姫のいう並木まで来ても、姫の従者は誰もいなかった。ただ一輛の蒔絵輦が、路ばたの流れの中へ片方の軌を落して傾いでいた。
「誰も見えんわ。女性、お住居はいずこでおわすか、ことのついでにご門前まで送ってとらせようと師の房が仰せられる。いず方の姫君か、教えられい」覚明が、車のうちへいうと、
「月輪禅閤の息女です」と、かすかに裡でいう。
「えっ」驚いたのは、覚明や性善坊ばかりではない、範宴も意外であったように、
「では、あなたは、月輪殿のご息女……するとあの玉日姫でいらっしゃるか」
「はい」だいぶ落着いたらしく、はっきりと姫は答えた。
「やはり……仏天のおさしずじゃった……道に迷うたのも、吾々が師の房をさがし求めて行きあわせたのも……。なんと、ふしぎじゃないか」性善坊は覚明と顔を見あわせて、そういった。