Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
範宴は、一日来ると、必ず一つ感銘を抱いて帰った。世間そのものの浄土を見て帰った。
「もし! ……」ぞろぞろと禅門から人々の帰って行く折であった。老婆と幼子とを門前にのこして、範宴の後をついてきた商人の妻らしい女が、
「もしや、範宴さまではございませんか」と後ろから呼んだ。
「どなたです」
「お見わすれでしょう」と女はわらう。範宴は、女の笑顔に、
「おお、梢どのか」と驚いていった。
弟の尋有の今の姿が、すぐ梢の変りきった眼の前の姿と心のうちで比べられた。二人の恋ももう遠い過去のものであった。天城四郎にかどわかされて後のこの女の運命を思わないこともなかったが、こんなに幸福な陽の下で見られようとは想像もしていなかったことである。
「あのせつは、ご心配をおかけいたしましたが、今では、小やかですが、穀商人の内儀になり、子どもまでもうけて、親どもと一緒に暮らしております。よそながら、お噂もうかがって、いつも蔭ながらご無事をおいのりしておりましたが、ここでお目にかかれましたのも、ありがたいお上人様のおひきあわせでございましょう」と、ことばの下から念仏をとなえて、吉水の門を拝むのだった。