Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
「見えたの、めずらしゅう」
「はい」老師の近ごろの健康のもようとか、時候の挨拶とか、また、自分が吉水へ入室してからのことどもなど、いうべきことも、詫びることも、山ほど胸にはあるのだったが、今朝はそれさえも長々と述べてはいられない綽空の気持であった。
顔を上げて、すでにここを訪おうと思い極めた時の決心を、今、磐石のように自身の胸に甦えらせて、
「今朝は、師にお願いがあって、参じたのでございます」と、いった。
語気が、異様な力を持って、慈円の耳を打ったと見え、慈円は、きらと、眉の下に眸を澄ました。
「む。……なにかの?」
「お驚きくださいませぬように……」すると慈円は和やかに笑って、
「おもとが、さようにまでいったことは、九歳の時、得度を授けてから今日まで、わしは初めて聞いた。よほど大願よな」
「大願。……真実、綽空が大誓願にござります」
「なんじゃ、それは」
「月輪殿のお末女の方、玉日姫を、わたくしの妻として乞いうけたいのでございます」
「ウウむ……」喉で何かを抑えつけたような慈円のうめきであった。さすがに動じない老師の面もただならない波立ちである。綽空はとたんにぺたっと両手をついて耳もとを茜のようにしているのだった。