Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

――なんでも、氏素性はよい人だそうですがね。……それにしても」

「綽空?」小首を傾げて――

「幾歳ぐらいな男だろう?」

「三十一、二でございましょう。なんでも、そんな話で」

「それでは以前、青蓮院の慈円僧正につかえ、後に、叡山へ入った範宴少納言ではあるまいか」

「そうそう、前には、範宴といったそうです」

「うむ!」鼻腔でこう太く呻くと、

「そうか。やはり、そうだったのか!」

怖ろしい形相を作って、山伏は、無言になった。一匹の黒くて逞しい熊野犬を後ろにつれ、杖をこつこつついて、人混みから離れて行った。

二

わん――

足の迅い飼主に追いついて、大きな熊野犬は、尾を振って絡みつく。

「黒」と山伏は、呼んで、

「馬鹿な奴だ、おれのような宿なしに従いてきてどうする、帰れ」といい聞かせている。

しかし、杖で追われても、黒は帰ろうとしなかった。山伏はてこずりながら、

「帰れといっても、貴様も帰る故郷がないのか。この弁円と同じように――」

わん――

黒は、山伏の袂を噛む。山伏は旅の道から尾いてきたこの三界無縁の犬を、さすがに、酷くも捨てかねて、

「その代り、黒、俺と一緒に、野たれ死をしても、俺を恨むな。