Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
黒の毛を撫でて、蚤を取っていた山伏は、不意に杖を立てて、
「黒っ、来いっ」と跫を早めた。
石運びだの、大工だの、屋根葺などの住む狭くて汚い裏町を、山伏は、布施を乞うて軒から軒へとあるいて行った。しかし、どこの家にも、近ごろは、念仏の唱えが洩れていて、修験者の経に耳をかす者がなかった。
「――お通り」とどこでもすげなくいわれる。山伏は、舌打をして、
「忌々しいことばかり聞く日だ」と、革嚢の小銭をかぞえて、なにか、油物をじりじり揚げている食べ物売りの裏口をのぞいて、
「飯を食わせんか。俺と、犬に、これだけで――」と、貧しい銭を手にのせて、揚物をしている女にいった。
三
椀に盛った玄米と、胡麻揚をのせた木皿とが、山伏の前に置かれた。
飢えている黒は、山伏の持つ箸へ向って、跳びつきそうに、吠え立てる。
「餓鬼めが、うるさいぞ」揚物を一つ抛ってやると、黒は、尾を振って噛ぶりつく。山伏もまた、がつがつと、飯を掻っ込み初める。
傍らには、彼よりも前に、床几に掛けていた二人の客があって、板を囲んで酒を酌んでいた。これもまた、貧乏そうな法師だったが、その一人がいい機嫌になって、気焔をあげていることには、