Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
――年は暮れて、元久元年になる。
岡崎の愛の巣では、若い妻と、法悦のうちにある綽空とが、初めての正月を迎えた。――玉日も、もう、草庵の水仕事にも馴れて。
七日には、二人して、粟田口の青蓮院の僧正へ、賀詞をのべに行った。尋有も、いよいよ健やかな勉学期に入っている。ただ思いだされるのは、養父の範綱――観真となって、老後を、孤寂のうちに養っていたあの養父が――もうこの時には、世にいなかったことである。綽空や尋有が、こういう欣びの法境に到らないうちに、夙く他界の人になっていた。
(養父がいたら、どんなに……)という良人の述懐を、若い妻は何度も聞くことであった。
二月になると、良人は、
「近くへ、旅に出たいが」と、妻へいった。
――淋しくはないか、と若い妻を宥わり思うのであった。元より沙弥の妻である。玉日は顔を振って、微笑んだ。
そして良人の立つ朝は、まめやかに、旅衣をととのえて、門口へ出て、笠を渡した。
「……二十日ほどで帰ります」どこへともいわずに綽空は、岡崎の松林から出てゆくのである。玉日は、良人のうしろ姿へ、掌を合せて、
「ご無事に」と仏陀へ祈った。――虫が知らすか、別れともない気がして。