Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
――民衆のよろこびを自己のよろこびとして、まったく、こここそ、浄土そのもののように、社会人の実生活と、仏弟子の法業とが、渾然と、一つものになって、一韻の鐘の音にも、人間のよろこびが満ちあふれているように洛内の上を流れていた。
「――下から見たよりは、思いのほか高い」
松虫は、ほの紅くなった顔に、白珠のような汗をながして、道の笹の根につかまった。
「でも、これくらい」と鈴虫は、喘ぎながら、強いことをいって、自分でも、おかしくなったとみえ、
「ホホホホ」
被衣で、汗をふいた。
後から登ってくる者が、どんどん先へ追い越してゆく。
そのたびに、ふたりは、自分たちの足の弱さや、日蔭と同じような後宮生活の不自然さを、自身の皮膚や心臓に省みて、
(毎日、こんな山や、空や、自由な風のふく所で汗をながして働いていたら、どんなにいいだろう、生きがいのあることだろう)と、思うのであった。
「あれ、鐘が鳴っています。――松虫さま」
「ほんに。……もう別時念仏の法筵が始まったのでしょう」
「行きましょう」汗の歓びだった。足のつかれも欣びだった。
ふだん絹につつまれて、帳の奥に、弱々しい生活をしている皮膚が、たまたま、ほんとの生活力を起して爽快な山の風に触れたのである。