Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

――いつとはなく。

――また、誰からともなく。

念仏の唱和が起っている。

な、む、あ、み、だ、ぶつ。――と六音のうちに、何百何千の人間のたましいが一声ごとに洗われてゆくように、そして、無碍、無我――から無心にまで澄んでゆくように、樹波の声のうちに、くりかえされているのだった。

「…………」鈴虫は、ぽかんとしていた。

そして、松虫の顔をそっとのぞいて、

(帰りましょうか)というような眼を向けたが、松虫が、どこかを、じっと、見つめているので、こらえているかっこうだった。

(念仏宗というものは、こういうものか?)

と、松虫のほうは、ちょっと、好奇に囚われて、初めのうちは、それを傍観者のように見ていたのであるが、気がつくと、自分のすぐ側にいる若い女房も、老婆も、また、町の男たちも、等しく、胸に掌をあわせて、一念に称名しているので、自分だけが、この広い御堂のうちで、空虚を作っているように思われて、何だか、取り残されたような心地であった。

四

「……ね、松虫様」

「え?」

「つまらない。帰りましょう」

「でも、せっかく来たのに」その席を立ちたくもあるし、立ちたくない気持もする。