Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
――それが善信にとっては、なによりもおもとへたのんで置くことじゃ」
――遠く、花の神楽岡の空を越えて、その時、鐘がなった。
「お……卯の刻」善信は思い出した。いつぞやここへ別れに来た時の尋有のことばを。――弟が撞く青蓮院の鐘の音を。
三
鐘は、鳴りつづいていた。その――一撞一韻ごとに、善信は、青蓮院の鐘楼に立っている弟の尋有の気もちを、胸にうけ取っていた。玉日は、そっと、
「抱いてやって下さいませ」と、房丸を、良人にわたした。善信は、子を抱いて、
「オオ」と、無心なその顔に、頬ずりを与えた。
「――すこやかに、よい和子に、育ってゆけよ。父は今朝、遠い国へ旅立つが、心はいつも、そなたの上に、父としてあろう」
その間に、戸外のほうは騒めいていた。室内にあった人々も、すべて戸外へ出ていた。
「時刻っ」と、大きな声が、草庵の門で聞えて――
「時刻でござるっ。疾くお立ちなされ」ふたたび荒々しい声音がひびく。
迎えの武者たちの群れだった。馬蹄の音や、草摺の音が、にわかに、仮借ない厳しさをそこに漲らせ、
「まだかっ」
「なにを猶予」などと、雑言を吐きちらしているのも、手にとるように聞えた。