Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
暗い雨の音が、さあっと、その跫音を前栽の木立のそよぎと追うらしい。
(曲者っ)つづいて、
(お出合いなされっ――)追いつめて、組みついたか、烈しい物音がする。喚く、打つ、そして、
(逃がすなっ)と、声が割れた。
蔵人も、右衛門尉も、また主の範綱も、思わず立ち上がっていた。そして、廊下の蔀を開け放って、
「何事じゃっ」雨に向って、範綱がいった。
しかし、それに答える遑もないように、木蔭や亭のまわりを、逃げる者と追う者の黒い影がみだれ合っていた。そのうちには、蔵人の供人もまじっているらしかった。
いつのまにか、右衛門尉は袴をくくり上げていた。武人らしく、さっと雨のなかへ躍り出て、築地を越えて出ようとしている曲者をひっ捕えた。そして範綱と蔵人のあきれ顔をしている前へ、ずるずると引き摺ってくるのであった。
室内の明りは、吹きこむ風に消されていた。範綱は奥へ向って、
「紙燭、紙燭――」と、どなった。
ふすまや、几帳の蔭から、小さい燈火の光が、掌に庇われながらそこへ運ばれてきた。雨の打つ階梯の下に、曲者はねじ伏せられている。右衛門尉は、直垂の胸紐をひき抜いて、曲者の両の手くびを背にまわして縛りつけていた。