Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうだ」もう西仏はそばにいなかった。――何を感じたか、彼もまた、まっしぐらに西仏の後から赤い空の下を走って行った。

二

場所が小高い丘であるし、正面海の風をうけるので、国府の代官所と年景の住居をくるめたそこの一廓は、焔々と、紅蓮のほしいままな勢いにまかされていた。

「――魔火じゃ」

「どうして、火の気もない、御文書庫から?」と、役人や小者たちも、手をこまねいて、猛火のすごい勢いに、気をのまれたかのように、傍観していた。

火事だっ――と誰かさけんだ時は、もう役所の奥の書類のつまっている一棟が完全に火の中にあったのである。原因のわからない火だった。

夜なので、役所のほうには、三、四人の小役人が宿直をしていたに過ぎなかった。丘の東の麓に、代官所の部下がだいぶ住んでいるが、そこへも火がかぶるので、めいめいが、わが家のことや家族の処置にいっぱいで、誰も、ここへは駈けつけて来ない。

国府の領民も、初めは、

(たいへんだ)と、驚いたが、すぐ、

(なんじゃ、代官所か)と、すぐ冷静になってしまった。

(日ごろ、わしらを、牛か馬のように思うて、苛税を取り立てた酬いじゃ、あの赤い火は、代官所を呪うている貧しい百姓たちの思いが燃えるのじゃ、常々、威張りくさってばかりいる代官の顔を笑うて見てやれ)そういう感情が、領民の誰にもあった、口にいう