Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
「おうっ……」年景は、振りかえって、ぎょっとした。――それは忘れもしない――かつて領下の田を、狩猟に出た帰り途に見廻ってくる途中で、松並木に、念仏の名号をかけて、村民たちに説教をしていた配所の流人僧である。――その時、自分は大の念仏ぎらいであるし、自分の通過も怖れず、突っ立っているその僧を憎い奴と思って、馬上から名号の掛物を引きやぶッてやろうとすると、それを拒んで、自分の馬蹄の下に倒れ、顔かどこかに怪我をしたあの僧である。後に聞けば、それは親鸞の弟子僧のうちでも、最も、前身にすごい経歴を持っている人物で、以前は天城四郎といっていた強悪の賊であったが、今では、念仏の行者になって、名も生信房と改めている男だと聞いている――
その生信房が、今、忽然とこの炎のなかへ駈けつけてきたのである。年景は、ぶるぶると体がふるえてしまった。――刹那に、彼の頭を突き抜くように走ったのは、
(復讐に来たな)という恐怖だった。
四
すでにその前から、憤怒、滅失、狼狽、あらゆる感情のみだれに、われというものすら失っている萩原年景である。
(いつかの流人僧だな)と、眼のまえに生信房のすがたを見ると、彼は蒼白になり、体はふるえ、口は渇ききって、恐怖のさけびも出なかった。