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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

という書出しで、近頃、変心の臆病者が続出するが、残る者は、この際いよいよ必死の結束をかためなければなるまいと戒め、亡君の御霊も御照覧あるべしと、結んである。

第二には――

討入の日の約束。

功の深浅は一切なし、一味すべて同功、合体して当る。

第三には――

紀律、節制の事。

第四には――

上野介を討ち取っても、一味勝手に退散せぬこと。

こう四ヵ条にわたって、最後には、

(――此一大事、成就仕らず候わば、此度退散の大臆病者と同然に相成る可く候事)

と、ある。

そこを惣右衛門は、二度読んだ。

『おまわし下さい』

起誓文は、順に手から手へ移ってゆく。

姓名を書いて、血判する。

咳声もない厳粛なうちを、静に、それが一巡した。

すべてで四十七名。

それが当日集まった者の全部であった。

つい先月――十一月までは、同志五十五名とかぞえられていたものが、晦日に迫って五十名に減り、それからわずか二日経った今日又、三名の顔が、永遠にこの中から去っていた。

主税は、心のうちで、

(こうしたものか)

と、きのうの父の言葉を思い出していた。

あの寒がり坊の父も、ここに坐っていると、寒さなどはてんで感じていないらしい。