轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
『や……では御非番なのに、寝もやらずに』
一学は雪明りの中の人影へ、思わず頭を下げて云った。
『――御苦労に存ずる。実はこれにて木村丈八と二人で、寝酒をやっていたが、ちと酒が足らぬ故、中間たちであったら、お賄所から少々無心させようと云う肚でござったが、人の眠る間も寝もやらず、この雪の中を御警固くださると聞いては、此方共も、三斗の水を浴びた心地、御忠節に対して、恥じ入ってござります。呼びとめて、失礼いたしたが、どうぞ、お宥し下されい』
『……、お酒ですか』
笠原七次郎は笑って頷いた。一学の酒好きはよく知っているからである。
『お易い御用です。後からすぐ届けてさし上げる』
『いやもう、それには及ばぬ。笠原殿、それには及びませぬぞ』
謝まるように云って、戸を閉めたが、すぐ取って返して窓の外へ来た跫音が、コトコトとそこを叩くので、再び開けると、赤合羽を着た笠原七次郎が、凍えた手に一升徳利をかかえて、
『まだござりますぞ。これだけでよろしゅうござるか』
『あ……恐れ入る。相済まぬ事を』
『何の……』
笠原七次郎は、にこにこしながら立ち去った。
一学と丈八は、窓からその影を暫く見送っていた。