轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
黄塵
『何をいわっしゃるっ、旦那様のお心は、それどころじゃござるまいが。……なんてえ災難と云おうやら、この年になって、八助は、こんな情ねえ御領地の様を眼に見ようとは思わなんでござりましたに』
手拭を顔に押し当てて男泣きに泣くのであった。――主の帰りを知って、式台には、雪洞の明りがさしている。妻のお陸をはじめ、長男の主税、次男の吉千代、まだ乳を離れないおるりまでが、母に抱かれて出迎えていたが、いつものような父でないし、いつものような母でないし、無邪気な子たちも寒々として見えた。
黄塵
こんどの大きな衝撃で、何よりもはっきりしたことは、武士と町人と、二階級の立場の差であった。二つの日常生活の差異が露き出しに事件の表面に現れたことである。一方は、城地と名を思う以外は、絶対に生命はないとしなければならない人々であったし、一方は、途端に自己の打算に立ち、個々の生活を町の騒ぎへ持ち出して、露骨に機敏に、利害を主張すればそれでよかった。
然し、握っていた藩札が、みな紙屑になってしまうかと恐れた町人たちも、後では彼等自身すこし気恥かしくなったように落着き込んだ顔に回った。