轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
二
「……おや、松虫さま、嘘ばかりおっしゃって」
「どうして」
「誰も通らないといったくせに、あんなに、ぞろぞろと、どこかへ人が行くではありませんか」
「この辻へ来てからでしょう。ごらん遊ばせ、みな同じ横から曲がってくる」
「どこへ行く人達でしょう」
「鹿ヶ谷の方」
「何があるのかしら?」
「問うてみましょう」二人は、樹蔭に陽をよけて、佇みながら、往来をながめていた。
奴袴をはいた男たちや、烏帽子を汗によごしてゆく町の者や、子どもや、老人や、髪をつかねた女や――中には太刀を厳かに横たえた武士とか、良家の女房らしい姿も、まじってみえた。
如意ヶ岳のふもとの方へ近づいてゆくにつれて、並木から、細い小路から、辻へ出るごとに、その人数は増していた。そして、蟻のように、同じ方角の道へ、つづいて行くのだった。
「もし」と、松虫が、これも汗ばんで行く一人の女へ、そっと訊ねてみた。
「――あの、今日は、皆さまの行く方に、何かあるのでございますか」女は、髪の生え際の汗を、袂で拭いて、松虫と鈴虫のすがたを、じっと見ていた。
「――あなた方は、御所のお方でございますね」
「え」と、松虫は、なんだか、生々とした生活力の中にある同性の眼にながめられるのが、肩身のせまいように覚えて、小さい声で答えた。