轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页
――兎に角、主人の身が、この儘、安穏無事であろうとは考えられないからである。万一の場合に、身をもって敵に当る人間として、彼は自分の存在をこの頃見出していた。
同じ吉良家の郎党でも、木村丈八のほうは又、やや生い立ちが違う。
彼は、根からの侍だ。米沢の上杉家の臣だった。藩主の息女である富子の方が上野介の室へ嫁いだ後に、吉良家へ臣籍を移された者なのである。従って、里方の上杉家へは絶えず出入しているし、又、上杉家の千坂か、千坂の上杉家か、と世間でいう譜代家老の兵部の息も十分にかかっている人間なのだ。
(吉良に、この二人がいる以上――)
と、二人はひそかに自負していた。まだ江戸には小林平八郎がいる。赤穂浪人がどう立ち廻ろうと、主人の側近を、この三羽烏で囲んでいる以上は、指も触れさせる事ではないと、暗黙のうちに誓いを固め合っていた。
石は喋る
江戸はもう六月の暑さだった。品川宿から高輪へかかると、海の風も生温く感じられてくる。街道は白く旱き上って、牛馬や荷駄馬の通るたびに、蠅が胡麻のように埃を追う。
『暑い!』
と、木村丈八は、真っ赤に焦けた顔を扇子で煽ぎ立てながら、