轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

『おう、堀部』

と、高田郡兵衛が、正面から見つけて云う。

『遅くなって、申し訳ない』

安兵衛が、座に着くと、

『まだ、磯貝十郎左も、富森助右衛門も見えん』

『その磯貝からは、言伝てを頼まれた。西瓜を喰うて中てられたとか、下痢いたして、昨日から寝ておる。助右は、旅立ちじゃ、両名とも、よろしくと云う事だった』

『磯貝のような若い者ですら、その通り、いつ病気を罹るか分らぬ。――ましてや』

と、高田郡兵衛は、声をひそめて、

『上野介のような老体は、何時、病で斃れるかも知れぬ』

奥田老人も、うなずいた。

『その段は、こころもとない』

郡兵衛は、槍術家らしい肩に、瘤を作って、

『為ろうじゃないか、これだけの者があれば……』

と、座中の顔を見まわした。

安兵衛は、懐中から、一札を取り出して、

『山科の大夫からでござる、いつぞやの御返書だ。廻覧して下さい』

奥田老人が、黙読して郡兵衛に渡した。郡兵衛から田中へ、片岡へ、竹林へと巡読してゆくうちに、

『堀部ッ』

と、郡兵衛が云った。どこか激しい語気だ。書面から受けた不快なものに耐え難くなって、日頃の鬱憤と共に吐き出すような口吻なのである。