轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

『成程、それは道理だ。じゃあ何うだろう、お粂さんの手で、それを隙を見て、ちょっと持ち出してくれまいか』

『えっ? ……』

『難かしいかね。それとも、そんな事は嫌だと云うのですか』

『……でも』

『それ御覧。誓書もかく、指も切る、と口では容易く云えるけれど、右衛門七の為に、こんな事一つ頼んでも、すぐその通り躊躇っているじゃないか』

『そういう理じゃありませんが、今、お屋敷では、大きな声では云えませんが、例の赤穂の浪人衆のうわさに脅えて、それはもう、とても厳しい御固めなのでございますもの』

『――万一見つかったらと思うのだろうが、なあに、外から私たちが手引すれば』

『それを奪り出して来たら、右衛門七さんのためになるのですか』

『今も云った通り、さる御旗本の御隠居が、やはり普請に凝り性で、ぜひ、吉良家の御庭から間取の工夫を、一見したいと仰しゃるのでな、そういう事にも、忠実やかなところを見せて置くのが、当節の商人気質、それを右衛門七の手から届けさせて、お気に召すとなれば、だんだんに取り入って、お粂さんと夫婦して暖簾を持つようになっても、何かと行く末によかろうと私は思うのだ。