Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

六

ことばを交わすのも、愚かな沙汰です」

「…………」動こうともしないで、さめざめと範宴は泣き竦んでいるので、

「なにがお悲しいのですか」と、性善坊がたずねると、範宴は、紅い瞼をあげて、

「かわいそう」と、唯それだけを、くりかえすのであった。

ものに感じることの強い範宴の性質を性善坊はよく知っているが、かくまで、宿命的に己れを憎んでいる敵をも、不愍と感じて、嗚咽している童心の気だかさに、性善坊も、ふたたび返すことばもなく、心を打たれていた。

すると、どこからか、拙い尺八の音がしてきた。――緑の谷間から吹きあげる風につれて、虚空にながれてゆくのである。

六

どこからともなく流れてくる尺八の音に、

(おや)というように、二人は眼を見あわせた。

性善坊は、ここに姿の見えない菰僧の孤雲を思い出して、

「孤雲です……きっと水を飲みに行って、この下の谷で、何か考え出して、携えている尺八をすさびたくなったのでしょう」といった。範宴は、すぐ、

「はよう呼べ。――あの孤雲が多年たずねている寿童丸は、ここにいる。それを、孤雲はまだ知らぬのじゃ」

「そうだ、孤雲が来たら、どんなによろこぶか知れません。