Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
六
六
とにかく、此宿には違いないので、範宴が門口に寄って尋ねると、
「ああ、病人の旅のもんならば、裏の離れにおるだあ。この露地から、裏へ廻らっしゃい」木賃の亭主が、煙っている家の中で呶鳴る。
「少々、その者に、会いとう存じますから、それでは、裏へ入らせていただきます」と範宴は、一応断って、教えられた裏の方へ廻ってみた。
百姓もするのであろう、木賃旅籠の裏には、牛なども繋いであるし、農具だの、筵だのが散らかっている。
亭主のいう離れとはどこかと見まわしていると、飼蚕小屋でも繕わしたのであろう、ひどい板小屋を二間に仕切って、その一方に、誰やら寝ている者がある。
(こんな所に寝ているのか)弟の境遇は、その板小屋を見ただけでわかった。旅の空に病んでいる気持、恋のために世間から追いつめられて、その恋をすら楽しめずに死を考えている気持――。まざまざと、眼に見せられて、彼は、胸が痛くなった。
驚かせてはならないと、しのび足に、板屋の口へ寄って、異臭のする薄暗い中を覗きながら、
「朝麿」と、呼んでみた。
すると、そこに見えた薄い蒲団を刎ねのけて、寝ていた者は、むっくりと、起き上がった。