Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんらん

親鸞

吉川 英治

Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

甘い乳の香と、母性の愛を思わすにおいが、この故郷からはすでに遠く人生を歩んできた範綱や宗業の心をもやわらげて、何がな、自分たちの生命の発生にも、ふかしぎなものを考えさせるのであった。

十一

ここには、諸悪の魔も、ひそむ蔭がない。明るさで、いっぱいだ。

「どれ、私にすこし」宗業が、抱きとると、

「わしにも、抱かせてみい」眠っている十八公麿を、手移しに、膝へ取って、

「重うなったの」父の有範は、

「そうじゃろう、凡の子よりは、ずんと健やかじゃ」と、自慢気である。するとまた、吉光の前は、

「もう、何か、ものをいうてもよいころではございませぬか」案じ顔にいった。

「ははは、今も兄上と、途々話したことですが、まだまだ」

「まだでしょうか」

「ご心配はない」

「でも、かた言ぐらいは」

「泣けば、よいのです、泣くことは、泣くでしょう」

「時々、耳のひしげるような大声で、泣きまする」

「それでいい」有範はべつに気にはしていなかった。何よりも、膝にのせると、ずっと重いものを感じるこの子の健康さに信頼ができる。親ごころに、唖かと案じれば唖のようにも思えるほどきちりと結んでいる唇は、なかなかあかなかったけれど、眸は、つぶらで、よく澄んで、青空のような白眼のうちに耀きをもって、この世への意志をきかけている、そして、眠る時は、ふかぶかと、濃い睫毛をふせて