Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
五
――しかし、蜘蛛太の影は見あたらない。
「まだ、外へ失せてはいない。どこかに潜んでいるに違いないぞ。探しだして、たたき伏せい」年景は、自分も狂奔していた。そして、いつか、妻子たちの住んでいる奥の棟のほうまで走ってくると、
「あなた」と、針をふくんだような――冷たい甲ばしった声が――ついそこの住居から走った。
(妻だな)すぐ年景は、その声の主を、振向かないでも感じていたが、
「なんだ」よいほどに答えると、
「ちょっと、話があるから来てください」と、彼の妻がいった。
彼の妻は、田弓の方といって、七人もの子供を育んでいた。年景は、舌うちして、
「それどころじゃないっ」呶鳴ると、
「何が、それどころでないんですか。妻の私が、たまに話があるというのに、話も聞いて下さらないのですか」
「昼中は、お役目が忙しい。妻の相手になぞなっておれるか」
「ふん……」と、田弓は良人の挙動をながめて笑った。
「公のお役目がせわしいなどとよくいわれたものです。――あなたは、側女の山吹がいなくなったので、それで狼狽えているのでしょう」
「ばッ、ばかっ。――何をいうか」
「そうです、そうに違いありません。