Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
二
知っていると思う。
それは誰だろうと範宴はさっきから考えるのだ。するとそれはやはり自分の中にいるものだということが分った。
(自分は二つの人間になっている)と気がついたのである。相反している二つのものが、範宴という一個の若い肉体をかりて、心のうちで、血液のうちで、すさまじく闘っているのがわかる。そして肉体の主は沈湎として終日、白磁の牡丹にうつつな眸を消耗したまま蒼白い秘密の夢をみているのだった。
二
東山の夜は早く更ける。三十六峰のふところは星の光も届かないで宵闇がふかい。怖いと思い出したら足も竦んで出ないのであった。
万野は姫の心を思うと、その怖さも忘れていた。女ごころは女でなくては理解できないものとして、彼女はあえてこの暗い夜をものともせず姫のためにすすんで、秘密な使いに出てきた。――その使いを果たした後で、姫が、あの可憐しい眸にうれし涙をたたえ、掌を合せて拝まんばかりによろこぶがために、(もし、お父君に知れたならば、自分がすべての罪を負って)とまで、悲壮な覚悟すらしているのであった。
それにつけても男心ほど浅いものはないと思う。次の夜には必ずまた訪れようとかたく誓っていたのにその人はあれきりついに姿を見せないではないか。