Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
六
姫は、じっと睫毛に白珠をためながら、
「でも、お父さま……」何かいおうとしたが、
「すみません」と、ただ微かに詫びる。
「すむも、すまぬもない。そんな気づかいがそもそもわるい。そうじゃ、もうこの別荘の梅林も、きょうあたりはだいぶ綻びていよう、そこの蔀を上げてみい。――万野」いたのかいないのかわからぬように、几帳のうしろで、じっと俯向いていた万野は、その時はじめて、
「はい……」と返辞をして、
「姫さま、すこし、戸外の光をご覧あそばしますか」
身をのばして、姫の顔へ訊いた。
(嫌……)というように、姫は、よけいに沈んだ顔いろを見せ、さらにまた、父へ、
「わたくしは、どうしてこう不孝者に生れついたのでございましょう」それから――よよと低くすすり泣くのであった。
禅閤は、なぐさめる言葉もなく、腕をこまぬいてしまった。押し出されるように太い息が出るのであった。
姫のこういう状態が、何に原因しているかを、この父の君は、薄々知らないこともないのである。――しかしそれは父子の仲でも口にのぼせない問題だった、もし口にするならば、姫の状態をもっと悪くすることが分りきっているし、父としてのいうべき意見もいわなければならない――。