Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
――仏前に詣るにも、弟子と話すにも、南縁から、三十六峰の雲をながめているにも、その膝には、母乳を恋う良人の分身をのせていた。
このところ、彼女は母乳が出ないので、悩んでいた。良人はどこへ行ってどうなっているのか。その消息はいっこうにわからない。騒擾のうちに、暗殺されたといううわささえ巷には飛んでいる。そんなことがないともいいきれない良人の身辺であり、またその烈しい強い性格を知っているだけに彼女は胸がいたむのであった。
今――生信房が縁から、
「お師さまが、おかえりですぞ。――たしかにあのおすがたは、師の善信様にちがいない。はよう、出てごらんなさい」そう呶鳴るので、玉日の前は、胸がずきっと痛むほど大きな衝動をうけた。
「ほんに……」縁へ転び出て彼女は伸び上がった。
白川のほうからこの岡崎の丘の林へのぼって来る小さい人影が分るのだ、飄々として、春のかぜに、黒い法衣のたもとがうごいている。
(良人だ)そうはっきりわかると、彼女は、ふところに抱いているまだなにも知らないわが子へ、ひしと頬ずりして、
「お父さまが……そなたのお父様が……ご無事でおかえりなされたぞや。