Japanische Klassiker mit Furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lesen Sie 親鸞 (しんらん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 566.138 Zeichen · 1127 Bildschirme
――はやく一口、水をあげて下されい」
三
教順房の声なのである。
何事かと驚いて、人々が出てみると、その教順房と共に托鉢に出た生信房が、どうしたのか、両手で顔をおさえたまま、友の脇に抱えられて、よろよろと、縁端へ来て、俯伏した。
「あっ、どうなされたっ、生信房どの」人々が、騒ぎ立てると、
「しっ……静かにしてくれ。……師の房のお耳に入る、……静かに」と、生信房は、血しおで真っ赤になった手を振って、またそこへ俯伏してしまう。
「水を――」
「生信房どの、水をおあがりなさい」取り囲んでいたわる法の友たちの背へ、粉雪が、さやさやと光って降りそそいでいる。ある者は、薬をさがし、ある者は布を裂いて、彼の額の血しおを拭いてやる。
「ひどい傷だ。――一体これはどうなされたのです」
「な、なに……大したことはありません。戻る途中、滑川の崖で転んで、石で打ったのだ」
生信房は、いぶかる人々へ、こう打ち消して、暗い部屋の中へ、苦しげに這いこんだ。
傷口へ寒風を入れてはいけないと気遣って、人々は、筵や破れ屏風をもってきて、そのまわりを囲んだ。
――やや風がやむと共に、雪もすぐやんで、今までの空もようは嘘みたいに霽れてきた。