轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

「日の出」1935(昭和10)年1月号~1937(昭和12)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 页

青空文庫

どうにも成らない女という身――後家という身――又、大名の奥住居という境遇を冷たい枷にもだえて呪ったか知れなかった。

だが。――きのうの朝。

いつものように、亡き良人の前へ亡き良人の在りし日の通りに、好む薄茶を立てて、静かに、朝のつとめに坐っていた時。

あの常に落着いている与左衛門が、まるで、そこの襖も踏み外すように転び込んで来て、

(御後室様! 吉報でござりまする! 赤穂の御浪人方一同が、吉良どのを、とうとう、吉良どのの)

舌も縺れるような声をして、云って来た時の一瞬は――

(生きていてこそ!)

とその歓びに顫き、同時に苟めにも内蔵助の心を疑ってみたり、この人間の世を邪視していた自分が、打ちのめされたように恥かしくて、

(済まない。――)

と思い、亡き良人に対しては、

(あなたの御家来が、出来しました。あなたのこの世に持っていた一城も、これでただ意味もない滅亡ではなくなりました。いえいえ、この世の中にとって、人々の精神のうちに、幾代の末までも、どんなに大きな役目をしてゆくことかもわかりませぬ)

と、霊を慰め、それからそれへと、思い出される事やら欣しさやらで、一日中、欣し泣きに泣いていた事であった。