Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
四
閉じている眼からは涙がとまらなかった。
婆は、いよいよ歯がゆそうに、
「なにを泣くのじゃ。泣くほど犬畜生に未練があるのかっ。――ええ、もうおぬしという子はいのう!」
力まかせに、わが子を大地へ突き仆した。そして自分も諸仆れに腰をついて、一緒になって泣き出した。
四
「これ」
厳しい母に返って、お杉は大地に坐り直した。
「今が、汝が身にとっても、性根のすえ時。――この婆とても、もう十年二十年先までは寿命も知れぬ。こういう声も、わしが死んでしもうた後は、二度と聞きたいと思うても聞けはせぬぞ」
――分りきったことを――というように、又八は横を向いたままなのである。
お杉は、わが子の機嫌を損じてもならないと、心の隅ではまた、気がねするように、
「のう、これ。お通ばかりが女子ではなし、あのような者に未練をのこしゃるな。もしこの先、おぬしが、ほしいと望む女子があれば、この婆がその女子の家へお百度踏んで通うても――いやわしが生命を結納に進上しても、きっと貰うてやりまするがの」
「…………」
「――だがの、お通だけは、金輪際、本位田家の面目として、持たすことは相成らぬ。おぬしが、なんといおうが、まかりならぬ」