Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
二
「では寒いのか、唇の色が紫いろしているではないか。其許は吉岡方の名目人で、つまりきょうの果し合いの総大将だからの、確乎していなければいかんぞ。もうすこしの辛抱、も少し経つと、面白いものが見られるからな。……どれ、わしもどこか地の利のよいところで」
と、いい捨ててそこを立ち去った。
二
――一方、思い合せると、ちょうどその時刻。
志賀山と瓜生山の間ノ沢あたりで、お通から別れ去った宮本武蔵は、
(ちと遅くなった!)
と、その遅刻した差を取り戻そうとするかのように、急に脚を早め出していた。
下り松での出会は、寅の下刻と約してある。この頃の日の出はおよそ卯の刻過ぎであるからまだ暗いうちなのだ。場所が叡山道で三道の辻に当っているし、夜が白めば、当然往来人もあるからその点なども時間に考慮されていることはいうまでもない。
(お、北山御房の屋根だな)
武蔵は、脚を止めた。そして自分の今踏んでいる山道のすぐ真下に見える伽藍をのぞいて、
(近い!)
と感じた。
そこから下り松の辻まではもう七、八町しかない。北野の裏町から歩き出した距離も遂にここまでちぢまった。この間に月も彼とともに歩いていた。