Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
七
この返す切先の下こそ、いつも彼の相手の地獄となるところであった。
ために、第二撃を、敵に与える遑もなく、権之助は杖の両端を持って、武蔵の刀を、頭上で受け止めた。
かんと、彼の額の上で、杖は鳴った。白刃と杖とのこんな場合、杖は当然両断になってしまいそうなものだが、刃が斜めに来ない限り、決して切れるものでない。従って、受ける方にも、その手心があって、権之助が頭上へ横に翳した杖は、敵の手元へ深く左の肱を突ッこみ、右の肱をやや高く折り曲げて、咄嗟、武蔵のみずおちを、杖の突端で突かんとしながら受けたものであった。しかし武蔵の刃はたしかに止まったが、その捨て身な迅業は、成功しなかった。――なぜならば、杖と刀とが、彼の頭上で、がっきと十字に噛み合ったせつな、杖の先と武蔵の胸のあいだには、惜しくも、ほんの一寸ほどな空間を残していたからである。
七
引きもならない。
押してもゆけない。
無碍にそれをやろうとすれば、忽ち、焦心だつほうが敗れるにきまっている。
これが、刀と刀との場合ならば、つば競りというのであろうが、一方は刀でも、一方は杖である。
杖には鍔がない、刃がない、また、切先も柄もない。