Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
この師この弟子
一
――すると、伊織は、武蔵の声をさがすように見廻して、にやりと笑って、
「先生は、あわてもンだなあ。この雨はやむ雨だよ。この通り、雲が断れて来たじゃないか」
と、一指を天にさしていった。
「…………」
武蔵は、教える子に、教えられたような気がして、沈黙していた。
だが、伊織は、単純なのである。――武蔵のようにいちいち考えていったりしたりしているのではない。
「おいでよ、先生。まだ明るいうちにゃ、だいぶ仕事ができるよ」
と、その姿のままで、また、前の労働をつづけ始めた。
この師この弟子
一
ここ四、五日青空をみせて、ひよ、もずの高音に穂すすきの根の土も乾きかけて来たかと思うとまた、野末の果てから背のびをした密雲が、見るまに坂東一帯を、日蝕のように暗くしてしまった。伊織は、空を見て、
「先生、こんどは、ほんものが襲ってきたよ」
と、心配そうにいった。
いううちにも、墨のような風が吹く。帰る所へ帰り遅れた小鳥は、ハタキ落されたように地に墜ち、草木の葉はみな葉裏を白く見せて戦き立つ。
「一降り来るかな?」
武蔵が訊くと、
「一降りどころじゃないぜ、この空は――。そうだ、おらは村まで行って来よう。