Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
九
「わしも、今は山に籠ってこんな業をしておるが、以前は侍でな」
「ははあ」
「さっき居合せた者も皆そうじゃ。蛟龍も時を得ざれば空しく淵に潜むでな、みな木樵をしたり、この山で、薬草採りなどして生計をたてているが、時到れば、鉢の木の佐野源左衛門じゃないが、この山刀一腰に、ぼろ鎧を纏っても、名ある大名の陣場を借りて、日頃の腕を振うつもりじゃが」
「大坂方ですか、関東方でございますか」
「どっちでもいい。まずやはり旗色を見て加わらぬと、一生を棒にふるからなあ」
「はははは、大きに」
武蔵は、まるで相手にしない。なるべく足も大股に努めてみたが、男もそれにつれて大股になるので何の効いもない。
そしてなお、気になることには、自分の左側へ左側へと、男は好んで寄り添ってくるのだった。これは、心ある者は最も忌むところの、抜討ちを仕かける時の姿勢である。
九
――だが武蔵は兇暴な道連れの狙っているその左側を、わざと空けて、甘んじて相手に窺わせておいた。
「どうじゃな修行者。もし嫌でなかったら、おれたちの住居へ来て、今夜は泊ってゆかないか。……この和田峠の先には、大門峠がある。夜明けまでに越えるというても、道馴れない者にはどうして大変だ。