Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
三
牛はやがて、柳の木に繋がれる。――川を隔てて遠く見た姿には、狂喜の手を振ったり名を叫んだりしていたのに、その人の側に立つと、お通はもうなにもいい得ないのである。にこと眼で笑ったほかは、すべて城太郎が一人で引きうけて喋舌っていた。
「お師匠さま、もう傷は癒ったの。おいら、お師匠様が牛に乗って来たから、あの時の傷がまだ痛んで歩けないので乗って来たのかと思ったよ。……え? どうしてこんなに早く来ていたかって。……そりゃあ、お通さんに聞いたほうが早いや。お通さんと来たらお師匠様、ほんとに勝手なんだからね。お師匠さまから手紙が来たら、この通り一遍に元気になってしまうんだもの」
「ふム、そうか、ふム……」
と武蔵も一々にこやかに頷いていたが、ほかに客もある茶店先、お通のことをいわれると、見合いに来た聟殿のように甚だてれる。
裏に、藤棚で掩われた小座敷がある。そこへ三名は寛いだ。といっても相変らず、お通はもじもじしてばかりいるし、武蔵も無口に固くなってしまう。ありのままに歓び、歓びのままに喋舌り、この景地と生命を楽しんでいるものは独り城太郎と、そして、藤の花に噪いでいる虻と蜂ばかりだった。