Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate

Aozora Bunko

十一

そして刀の先に、彼の意思が、ビクとうごきかけた。

――ぎゃっッ!

武蔵の刀は後ろを払っていたのである。その刃は、彼の背後から這い寄って来た太田黒兵助の頭を横に薙ぎ、ジャリッと、小豆袋でも斬ったような音をさせた。

大きな鬼燈みたいな頭が、武蔵の側を勢いよくよろけて、伝七郎の方へ泳いで行った。その歩いて行った死骸につづいて、武蔵の体も咄嗟に――敵の胸を蹴飛ばしたかと思われるほど高く跳んでいた。

十一

四方の静寂を劈いて「ア――ああっッ」と、亀裂のはいった声だった。伝七郎の口からである。満身から発した気合いが、途中でポッキと折れたように、宙へその一声が掠れて行ったと思うと、彼の巨きな体が、後ろへよろめき、どっ――と真っ白な雪しぶきに包まれた。

「まッ、まてッ」

大地へ伸びた体を無念そうに曲げ、雪の中へ顔を埋めながら、伝七郎がこう呻くようにいった時はもう、武蔵の影は、彼のそばにはいなかったのである。

俄然、それに答えたものは、遥か彼方で――

「おうっ」

「御舎弟の方だ」

「た、たいへんだ」

「みんな来いっ」

どどどどと、潮の駈けて来るように、雪を蹴って、黒い人影がここへ集まって来る。