Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 508.883 caratteri · 1017 schermate
五
「風呂小屋の横に、洗濯して、乾してありますが」
「じゃあ着物を持って、としよりを負ぶって来い」
「家へ連れて帰るんで?」
「そうよ、盗っ人だけ懲らしたってこのとしよりを捨てておいたら、またどいつかが悪い量見を起さねえとも限るまい」
生乾きの着物を抱え、彼女を背なかに負ぶって、乾児の男が、半瓦のあとに尾いてそこを立ち去ると、往来につかえていた人垣も、ぞろぞろと東西へ崩れだした。
五
日本橋は、竣工てからまだ一年も踏まれていなかった。
後の錦絵などで見るよりも、そこの河幅はずっと広くて、両岸から新しい石垣の築出しが築かれ、そこにまだ新しい白木の欄干が架かっていた。
鎌倉船や、小田原船が、橋の際までいっぱいにはいって行った。その向う河岸に、魚くさい人間がわいわいと市を立てている。
「……痛い。うう痛い」
ばばは、乾児の背なかで、顔をしかめながらも、魚市場の人声に何事かと、眼をみはった。
半瓦は、乾児の背から、時々聞える呻きをふり向いて、
「もう直きだよ、辛抱しねえ、生命に別条があるじゃなし、余り唸りなさんな」
往来の者が、頻りと振向くので、こう注意したのである。
それからは、おとなしくなって、ばばは嬰児みたいに、乾児の背へ顔を寝かせていた。